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P103




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P棟 103:統計学との付き合い方


ここではビジネスに携わる方たちに向けて、統計学との付き合い方について簡単に説明しておきます。

学生には講義で詳しく話していますが、それはここには記載しません。 (学生向けの内容は、原則、T棟に配置していきます。)



ビジネスに携わる方たちの場合、統計に興味を持たれている方(ここにたどり着いた方)は、大きく以下の二つに分かれると思います。

1.管理職クラス、もしくは技術調査の担当者で「統計学」で何ができるのかを知りたい。 どう自社のビジネスに使えるのか(もしくは使えないのか)知りたい

2.統計の素養はさほどではないが、既にデータをもっている、あるいは、統計解析の仕事に従事することになり、勉強する上でのとっかかりを探している

私がこちらに記載するまでもなく、最近は書籍が充実しており、関連セミナーも様々な場所で開催されています。 ですから、ここでは事例紹介ではなく、むしろ、心構えについて述べたいと思います。


1のケース

1のタイプの方の場合、私が述べたいことは、 P102で紹介した「マンガと図解でわかる統計学」(向後 千春, 宝島社.)のp.12〜p.15に、きれいにまとめられています。 この本で一貫して述べているメッセージ、見解は、私のものと同じです。


つまり、統計そのものを使いこなすのは、数学の計算があって大変だけれども、 それ自体は、必要になったら学ぶ、もしくは、部下に学ばせる。あるいはコンサルティング会社などに依頼するのでよいわけです。

統計学で何ができるのかビジネスに即した事例を眺めながら理解できればよいのです。
P102でも述べましたが、1のタイプの方であれば「マンガでわかる統計学」のような「お勉強」を助ける本は不要です。

もう少し、ビジネスに即した実例をたくさん知りたい場合には、ビジネス関係に強い出版社の「統計学特集」を 幾つか読んでみるのが良いでしょう。(だいたい、どれも同じような例を持ち出していますが。)
「統計学が最強の学問である」(西内 啓, ダイヤモンド社.)

の1〜4章も良いと思います。5・6章はこの本だけでは理解できないので、とばし読みで構いません


また、こうした方たちの場合、一般的な素養として、統計検定3級レベルはマスターした方がよいでしょう。 具体的には、視覚に訴えるプレゼンテーションや、逆に、錯覚を生むデータの表示などの事例を通じて データを客観的に見る目を養うことが大事です。いわゆる、データリテラシーというものです。数学的な難しさはなく、むしろ、ちょっとしたコツを覚えるだけです。

それでも、こういう訓練は今の統計教育ではあまりカバーされていませんでした。 ですから、ちょっとしたコツを覚えておくだけで差をつけられるのです。





統計検定は2011年に始まったばかりですから、今後、関連書籍が充実してくるものと思われます。 個人的な感覚では、統計検定3級は、英検3級と同列の難易度と思います。 ですから、3級取得は資格としての意義よりは、むしろ、最低限の素養を身につけるためのマイルストーンとお考えください。 今後は、新入社員教育の一環として2〜3級レベルの教材を組み込むのもよいかもしれません。
私がマーケティングデータなどの統計分析を担当する部署のヘッドでしたら、出身学部によらず3級取得を義務付けるでしょう。(2級以上は数学の素養、確率計算がかなり必要になってきます。)



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2のケース

2にあてはまる方の場合、数学もしくは一般教養科目としての統計(大学初年度で学びます。)をお勉強する必要があります。 そういった人たちは、本で雰囲気をつかむだけでは不十分で、実際に手を動かす必要があります。 (これは、統計に限らず理工系の科目全般にいえることです。)



具体的には

1.計算問題を解く
2.エクセルを用いて簡単な解析をやってみる
3.Rなどの統計解析言語、あるいは汎用の言語(C, Java, Perl, Python)などを用いて簡単な解析をやってみる

といったことが必要です。
もちろん、1〜3をすべてやる必要はありません。 私が主張したいのは、ただ、入門書や啓蒙書を読みあさるだけでは、理解を深めることができないということです。 今の若い世代は知らないかもしれませんが「畳の上の水練」では泳げるようにならないのです。 既に解析すべきデータを抱えている場合は、実際にどんどん統計を使ってみることが大事です。 エクセルを使って統計を学ぶ といった書籍も増えてきましたので、自宅PCでもすぐにできます。 ただし、これらの書籍はレベルがまちまちですので、具体的にどれかを勧めることは控えさせていただきます。

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幾つかの注意点


最後に、上の1,2の両方に共通する注意点を幾つか挙げておきます。

1. 統計のお勉強と統計の活用のギャップ
2. 私たちが提供できること
3. 統計学は広大


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統計のお勉強と統計の活用のギャップ

まず、統計のお勉強 と 統計の(ビジネスへの)活用 には大きなギャップがあるということです。(ちなみに、私がやっているのは統計の研究であり、これもまた統計のお勉強とは違います。)

例えば、ビジネスで統計が役に立ちそうだと思った若手社員の方がいるとしましょう。 理工系の大学を出ていて数学もできるから、一生懸命勉強するわけです。統計検定で2級の資格も取りました。

しかし、それで、すぐに会社の役に立つでしょうか。

そうではないですよね。業務に関係しそうな資格の取得やスキルの習得、確かにこれは大切です。 しかし、それはスタート地点に過ぎないわけです。 統計がそれなりにわかる人材が社内に育って、はじめて、自社のビジネスへの活用方法が具体的に検討できるようになるわけです。

ここから自社内、部署内の業務内容に応じて、活用方法を考えていく必要があります。 統計がわかる人自身が、例えば、自社内で埋もれているデータを分析するといった作業がありえるでしょう。 こういった意味で、統計学も「便利な道具」の一つであることに変わりないのです。


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私たちが提供できること

次に私たちが提供できることについて説明します。

私たちが行っているのは、便利な道具をさらに使いやすくする、もしくは、万人向けにソフトウェアの形で提供するといった仕事です。個別のビジネスについては全く知らないわけですし、業種・業界情報については、新入社員ほどの常識すら持ち合わせていないわけです。

講演・演習・セミナーなどで、私たちができるのは、

a) 統計学という素晴らしい道具の基本を教える、
b) 最新の統計手法などの紹介、
c) 活用のヒントを与える

ということになります。

統計の専門性の高い教科書は、アカデミックな研究に基づいた結果が多く一人で読みこなすのはかなり難しいです。 また、最新の成果はしばしば英語論文のため、この分野のプロでないと読みこなせません。
私がビジネス向けにセミナーを行う場合は、あまりアカデミックな形式にこだわらず、 ビジネス的にインスパイアできる例を挙げるようにしています。 コンサルティング会社のように個別事例を詳しく紹介するわけではありません。 しかし、統計手法をとりあげて、こんな使い方もできるんじゃないですか、といった提案をさせていただいています。 つまり、「お勉強」と「(ビジネスへの)活用」の間を埋めるようなセミナーを心がけています。

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統計学は広大

最後になりますが、統計学自体がかなり広大なものであることも忘れないで下さい。

入門的な本や初等教科書では、この点があまり強調されていないように思います。 大学初年度で学ぶ統計学は、古くからある、頻度論的な統計学のうち、かなり限定された話になります。 もちろん、学科・専攻によってはこれだけで十分な場合もあります。そのため、そうした分野・専攻を卒業した人の場合、現代的な統計学の存在すら知らずにいるわけです。 一方で、ビッグデータの解析などでは、古くからある統計学では不十分なのです。 そこで、もっと新しい統計手法を使う必要があります。

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長くなりましたが、最後に一言だけ。

統計学は時代のニーズを色濃く反映した学問です。ここが数学と違う点です。 ニーズがあれば、そこから新たな統計学が発展していくのです。 統計の研究者たちも、新しい分野への応用、これまで想定しなかった使い方、チャレンジングな課題を常に求めています。ビッグデータに限らず、ビジネスでの新たな統計学の活用に期待しています。



F. Tanaka, 2014/3/15.

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