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Q107




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Q棟 107: よくある誤解とその回答





Q106では現代の研究活動について説明しました。 ここでは、それらの内容を踏まえて誤解に対して、簡潔に回答します。 (それぞれ語りたいことは本当はたくさんあります。)

よくある誤解についてもう一度、掲げると以下のようになります。

研究、研究活動、よくある誤解
研究はお勉強と同じようなもの
わからないことは先生が全部知っていて、教えてくれる
問題を解けばそれでよい
文献や先行研究を無視して、自分の思いつきをそのまま実行してよい
論文は締切直前に徹夜すれば書けちゃう
研究の中身なんてわかる人が分かればそれでよい



研究はお勉強と同じようなもの

違います。 お勉強というのは、踏みならされた道、アスファルトが敷かれて、緩やかな坂を登っていくようなものです。 一方で、研究というのは、断崖絶壁を登ったり、ごつごつした岩の上を誰の助けも借りずに進んで行ったり、 ジャングルをかきわけて進む、そういうイメージです。

今でも時々、勉強ができるから、あるいは、お勉強が好きだから という理由で研究者を目指そうと考える人がいるようです。 こういった人たちはたいてい、現代の研究活動(Q106)の(a)の部分しか知らない人たちです。 まだ読んでない人はQ106を読み直しましょう。


わからないことは先生が全部知っていて、教えてくれる


違います。 これも、上と同様、お勉強と研究が区別できていないパターンです。

確かに4年レベルだと、指導教員がある程度、結果が想像できるような研究テーマを与えることはあります。 しかし、本来、大学の学問というのは極めて広大で、わからないことばかりです。 指導教員は百科事典ではありません。自分の専門にしてきた特定のテーマについては非常に詳しいですが、 それ以外については大学院での一般教養レベルです。

先生とは違うテーマに取り組む場合、課題を見つける、解決するといった作業は、自分自身(自己責任)で考えなくてはいけません。 このような場合、先生から逐一、教えてもらうという意識は捨てましょう。先生に教えられるくらい、自分で勉強して詳しくなる必要があります。

などと書くと、今度は、指導教員って意味ないの? と思われるかもしれません。 これも違います。
指導教員自身も昔、みなさんと同じような所からスタートして研究者になったわけです。 10年〜数十年のキャリアの間に培ってきた、研究を進める上での様々なノウハウというものがあるわけです。 これを甘く見ないでください。本にすれば2〜3冊にできる内容を一人ひとりがもっているはずです。 また、このノウハウは「問題とその解き方」のような「お勉強」の知識とは全然違います。
例えば、

研究に行き詰った時にどうするか?

これに対する正解はありません。 しかし、研究活動では、こういうことは普通に起こります。 そして、まともな指導教員なら、こうしたみなさんの疑問・相談に答えてくれるでしょう。



問題を解けばそれでよい

違います。 これも、上と同様、お勉強と研究が区別できていないパターンです。

先生によっては、これを解いたらもってきて、と言う風に かなり研究を細かく分けて渡すようです。 これは、研究活動のパーツを渡されているだけです。 研究の全体像を把握するように努めましょう。




文献や先行研究を無視して、自分の思いつきをそのまま実行してよい


参入障壁が低い分野などで、こういう人がいるようです。 しかし、キャリアの浅いあなたが、すぐに思いつくようなことを、 プロの研究者たちが、みんな取り組んでないと思う根拠はありますか?

直接の先行研究がない場合、すぐに見つからない場合もあります。 それでも、関係しそうな研究は探すようにしましょう。何かしらあるものです。 こういう文献収集も研究活動です。(Q106の(a)に入ります。) これも地味に時間がかかる作業です。


論文は締切直前に徹夜すれば書けちゃう


「論文」とはここでは、学生向けの課題レポートや卒業論文などを指しています。 Q106の研究活動(b)の部分を思い出してください。 論文の書き方・作法だけで一冊の本が書けると言いました。


・徹夜で書き上げた というとかっこよく聞こえます。
・実際やってみると達成感もあります。

でも、全然ダメなんです。

論文ではありませんが、田中(冬)もこれまで100人以上の学生レポートを見てきました。 A4用紙数枚のレポートです。 徹夜かどうかはともかくとして、時間をかけたレポートと、急ぎで書いたものは見ればすぐにわかります。 例えば後者は文や段落のつながりがメチャクチャでわかりにくいです。その上で体裁もひどい。


「時間をかける」と言いました。これはやや不正確なので、誤解する学生が出るかもしれません。

レポートなり論文なりを、きちんとした作法に従って書いてみると、なかなか進まないんです。 だから、結果として時間がかかる。


余談ですが、会社に入ると大量の文書作成が発生します。研究論文とは違いますがビジネス文書では、体裁も大変、重要です。内容もぱっと見てわかりにくいと叱られますよ、普通に。以下は内容が適切であっても体裁がひどい文書の例です。



みなsんは   誤字、脱字も補完して四めるわけすし、とつ然、文字のフォントが大きくなったり 小さ くなっても。情報は正確に伝わるわけ す、


いかがでしょうか。 このような文書を作成すると以下のようなデメリットがついてきます。


・文書の作成者の心象が悪くなる(社外向けなら、お客様の会社に対するイメージがガタ落ち。)
・文書内で述べている主張、内容に対しても疑惑がかかってくる
・読む気がしなくなる


体裁を整えることにも時間をしっかりかけましょう。



研究の中身なんてわかる人が分かればそれでよい


誰がこういったのか、あるいは、誰がそう信じているのでしょうか。 なぜか、こういう考え方が蔓延しているようです。

しかし、これも違います。
研究活動 (c) の中に、自分の研究の「宣伝活動」がありました。 つまり、自分の研究分野とは違う人たちに、ある程度理解してもらう必要があります。 直接的な理由としては、アカデミックポストへの就職や、研究資金の申請で、こういった能力が必要になってくるんです。 ですから、研究について、それなりにわかるよう説明することは「現代の研究活動」の一部です。 そして、もっと重要なこと。それは、


他人にわからせようと努力することが、研究対象の深い理解を生み出す。


ということです。


さいごに



一番最後の誤解はかなり根が深いです。

研究発表において、数式をばんばん出して、わけわからないことを淡々と話す人たちがいます。 ほとんどの場合は深く理解していません。 学生であれば、教員に言われたことをそのままやっているため本質的な部分を理解できていません。 また、ちょっと角度を変えて眺めることすらできていません。


好ましいことではないんです。 しかし、わけわからないことでも偉い先生、権威が話すと、 意味がわからないことを(むしろ)ありがたがる、高尚だと錯覚する人たちがいるんです。

学生がそういうのを見てしまうと、「あ〜、ああいったプレゼンがいいんだ」 と誤解してしまうのでしょう。





F. Tanaka, 2014/3/21

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